第92回アカデミー賞の結果と考察
現地の2/9、第92回アカデミー賞が開催されました。
今年もホストなしで行われたアカデミー賞。白すぎるオスカーの再来や女性監督の候補がなかったことが騒がれた一方、韓国映画の『パラサイト』が『ROMA』に続き12本目の外国語映画として作品賞にノミネートされました。
そんな今年も話題の尽きないアカデミー賞ですが、一体どんな式だったのか、簡単に振り返ってみました。
全体を通して
ホストなしの授賞式
昨年に続き、ホストなしでの授賞式でしたが、皆さんはどう感じたでしょうか。
去年私は、「思ったより悪くないけど、何か欠けている感じがするな」という印象でした。
しかし!今回は、ずいぶんそこが改善されていて、豪華さもありスムーズに楽しむことができて良かったです。
ただ、プレゼンター紹介用のプレゼンターの登壇時間が短かったり、唐突なパフォーマンスだったりと思うところは今回もいろいろありました...
やっぱりホストがいた方がいいっちゃいいなって
パフォーマンス
オスカーの楽しみの一つ、様々な音楽パフォーマンス。
今回はオープニングから心を持って行かれました!
アカデミー賞では無視されてしまった、『ミッドサマー』や『ルディ・レイ・ムーア』、『アス』などの衣装にはびっくりしたし、ビリー・ポーターの歌声も圧巻。
個人的にはこのジャネール・モネイのパフォーマンスは今回のハイライトのひとつです。
歌曲賞のパフォーマンスは、『ハリエット』の"Stand Up"が印象的でしたね...
力強い内容と歌声でつい身を乗り出してしまいました。
ビリー・アイリッシュの追悼のコーナーでの"Yesterday"も感動的でした。
最初にコービー・ブライアント選手から始まり、カーク・ダグラスが最後に映し出されましたが、こう見ると毎年多くの偉大な方がお亡くなりになっているなと。
ビリー・アイリッシュってすごいソフトで魔法にかけられるような声ですよね。本当に素敵でした。
予想の的中率
24部門中17部門でした。まぁ平均的な出来ではないでしょうか...
去年を教訓に結構自分の感情を抑えた上で予想したのですが、作品賞は自分の気持ちに正直に『パラサイト』にすればよかったなぁ、と若干後悔。
まぁ楽しめたからいいや!!!
結果の一覧は↓↓↓
結果の一覧
各部門について
長編アニメーション賞
『クロース』を予想してましたが、『トイ・ストーリー4』でした。
『クロース』好きなんだけど、『トイ・ストーリー4』も納得の結果。
そもそも4作も作って全部傑作ってなかなかの偉業だと私は思います。
本当にピクサー映画ってクオリティが高い...
サプライズなし・感動ありの演技賞
演技賞についてはすべて予想通りでした。これは2年前の第90回を思い出します。
それにしても、全員スピーチがウィットに富んでいて素敵だった...!
ローラ・ダーンがとった時の母・ダイアン・ラッドの涙は美しかったし、ホアキン・フェニックスの兄の言葉を引用したのは本当に感動しました。
もちろん個人的な希望も別にあったけど、皆納得の受賞だと感じました。
監督賞のサプライズ
毎年サプライズがつきものの授賞式だけど、今回1番のサプライズは監督賞だったのではないでしょうか。
前哨戦で本命と言われていたサム・メンデスを破ってのポン・ジュノの勝利。
その瞬間、思いっきり叫んでしまいました。 本当に嬉しい。
そしてスピーチがまた感動的でした...
他の監督の名前をあげながらスピーチしていたんですけど、その時のマーティン・スコセッシやタランティーノの表情が... 最高
そういえば最近はアメリカ人の監督賞受賞者少ないですね。
アルフォンソ・キュアロン
ギレルモ・デル・トロ
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥはメキシコ人だし、
ポン・ジュノは韓国人、
アン・リーは台湾人で、
ミシェル・アザナヴィシウスはフランス人ですもの。
これはある意味時代を表しているんでしょうか。
作品賞は...
『パラサイト 半地下の家族』
正直、監督賞と脚本賞をかっさらった段階で『パラサイト』くるな、と感じてましたが本当にこんな日が来るとは...
ポン・ジュノは日本でも有名な映画が多いので、喜んだ人は多かったんじゃないでしょうか。
それにしても『ラ・ラ・ランド』『ムーンライト』事件といい、(全然性質は違うけど)歴史的瞬間に立ち会えたなんて最高だな...
最後照明がスピーチの途中で落ちた時に、トム・ハンクスやシャーリズ・セロンが「照明戻して!」って盛り上がってたのが本当に印象的でした。
振り返り
全体的にはなんとなく心が温まる授賞式だったなと。
こんなにハリウッドが歴史的瞬間を讃えるのをみていると、同じアジア人として(そういう括りが嫌な人もいるだろうけど)嬉しかったし、夢があるなって思いました。
正直、『パラサイト』が全て持って行ってしまった感はあるけど、各種スピーチはどれも感動的だったし、パフォーマンスも個人的には楽しめました。
ホスト復活を願いつつ、「ホストなしでも悪くはないな」、そう思える夜でした。
今後のアカデミー賞はどうなる?
今回初めて外国語映画に作品賞を与えたことによる影響は非常に大きいと思います。
つまり、外国語の映画でも優れた作品であれば世界的にスポットライトが当たる可能性がぐんと上がったわけです。逆にいえば、これまで以上に常に世界が何を訴えたいのかしっかり考えて作品を作ることになるのでしょう。今後が楽しみ(←偉そう)。
今回『パラサイト』がとったことで日本の映画業界についてのツイートをよく拝見するようになりました。
正直僕は映画業界の人ではないし(少なくとも今は)、日本の映画業界が抱える問題もよくわからないですが、これを機に内輪向けの映画だけでなくもっと様々な挑戦をしやすい環境に変わってくれればと思います。
ここ数年はNetflixやマイノリティの問題など重要な授賞式が多かったような気がします。今年もまた歴史が大きく動いたアカデミー賞だった、それだけでも心を大きく打たれる授賞式だったと思います。