青い無人島の映画館

アカデミー賞を中心に映画を語っています。映画に興味のある方、アカデミー賞に興味のある方、ぜひ足を運んで頂けると幸いです。

2020年1〜3月に観た新作映画 Top10

1〜3月の新作映画を勝手にランキング

1〜3月に観た新作映画の個人的Top10をご紹介します。

この時期はアカデミー賞関連の作品が多く、ランキングも超メジャーな感じっぽくなってますが、悪しからず。(ちなみに作品賞候補のうち、『アイリッシュマン』『ジョーカー』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は2019年に鑑賞しました。)

あと、感想はあくまで個人の意見ですし、結構時間経つとランキングが変動するたちの人間なので、さらっと流してください笑。(文章力が欲しい...)

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Top10

1.Parasite『パラサイト 半地下の家族』

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ポン・ジュノ監督作品の中では『母なる証明』一番好き...とか偉そうなことを言いながら、やっぱり『パラサイト 半地下の家族』も傑作でした。 

まずは、ポン・ジュノ監督らしく笑いとシリアスさ、怖さが見事に融合。とにかく編集と撮影が秀逸でテンポの良さが完璧でした。
特に前半のミッション・インポッシブルさながらのリズムの良さには、心が躍りましたねぇ...

あと特筆すべきなのが美術でしょうか。
寂しさの漂う主人公一家の住む家や町並みから、裕福層の町並みや家の美しさと言ったらもうそれはそれは芸の細かいこと。

俳優さんの演技もすごかった... 大胆なようで、心の機微の表現の繊細さは本当に素晴らしかったです。ソン・ガンホは相変わらずの素晴らしさ。

アカデミー作品賞受賞は本当に嬉しかったなぁ。

2.Jojo Rabbit『ジョジョ・ラビット』

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こんなに泣けるなんて...。正直予想外でした。この映画で僕が感心したポイントは2つ。

一つ目は、子供目線で描いたこと。
これはショーン・ベイカー監督の『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』でも感じたのですが、子供ってどんなシリアスなことでもわからないから遊びに変えてしまうんですよね。
だからそれを利用した思想のコントロールがより怖く見える。一方でお母さんは、決して子供に自分の考えを押し付けていなかった。そんな環境の中成長していくジョジョに涙腺を刺激されました。

二つ目は、ナチス側から描いたことでしょうか。
ほとんどのユダヤ系映画はユダヤ人目線などのものが多い中、あえてドイツの少年の目線で、しかもコメディで撮るというタイカ・ワイティティの挑戦だけでも拍手ものです。

いやぁ... 泣いた...。

心の3位(2019年配信開始の作品なので).Marriage Story『マリッジ・ストーリー』

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2019年内に観れなかったので、今年に入ってから鑑賞。『アイリッシュマン』と違って劇場で観れず、Netflixで観させていただきました。

それにしてもノア・バームバック監督は『イカとクジラ』以来のアカデミー賞ノミネート。お帰りなさい。

まず、脚本が賢いの一言。こんな私でもこの脚本が秀逸であることがわかる、素晴らしいストーリーテラーです、ノア・バームバックさんは。
離婚するってそんな単純なものじゃないんですね。だからこそ残酷。こんな単純そうで複雑なテーマをリアルに、そして繊細に魅せる脚本が素晴らしい。対立構造の描き方もそれを引き立たせます。

あと演技陣の素晴らしかったです。アダム・ドライヴァーはもちろん最高だったし、スカーレット・ヨハンソンが演技派として戻ってきてキャリアベストの賛辞を得たのは納得の最高の演技でした。
ローラ・ダーンアラン・アルダレイ・リオッタ、皆良い。 

心の4位(2019年配信開始の作品なので).Dolemite is My Name『ルディ・レイ・ムーア

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こちらも今年に入ってからNetflixで鑑賞。色々と明るい気分になるのでオススメです。

クレイグ・ブリュワーは『ハッスル&フロウ』の監督ということで信頼しているのだけど、今回もまた素晴らしい。
Dolemiteという作品を撮ったルディ・レイ・ムーアについてのお話なのだけど、思わず笑みが溢れてしまう映画。作品の緩急のつけ方もお見事。

ルディ・レイ・ムーアを演じたのは我らがエディ・マーフィ。体から溢れる活気が、どんな挫折や苦しみも決して暗くは映さないすごい(もちろんそんな彼も暗くなるときはあるのだけど)。
僕だけでしょうか...、この主人公を見ていると、なんでもできそうな勇気がふつふつと湧いてくるのは。

アカデミー賞で完全シャットアウト食らったのは本当に解せない...(アカデミー賞が全てではないけどもね。) 

3.Midsommar『ミッドサマー』 

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本当ね、嫌な気分になりましたよ...。

アリ・アスター監督といえば、『ヘレディタリー 継承』で強烈な長編映画デビューを果たしたけれども、最終的な結論としては『ミッドサマー』より『ヘレディタリー 継承』がやや好きだったかな?

とはいえ、この映画もこの3ヶ月に観た映画の中ではトップクラスに素晴らしかった。怖いというより気持ち悪くて不快、不安っていうのが正しいかも。まぁ超怖かったんですけどね。

何と言っても、主演のフローレンス・ピューがあり得ないほどよかったです。最近の注目すべき英国女優さんですけども、みる度に違った表情を見せる彼女に感服。

あとは撮影が美しかった。すごい綺麗な色使いが逆に不気味で、そこにポンっとグロい描写や恐ろしい描写が出てくるものだから、逆にその怖さが際立つ映像美でした。

それにしても、この映画を観て爽快感を得る人もいるようで、ある意味それがこの映画の素晴らしさにもつながっているのかも。 

4.Richard Jewell『リチャード・ジュエル』

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クリント・イーストウッド様はもうすぐ90歳。それなのにこんな映画を撮ってしまうなんて...
もはや年齢なんて関係ないのかな。

爆発物を発見したリチャード・ジュエルさんは一回は英雄になるものの、そのあと容疑者として冤罪をかけられ...という話なのですが、まぁこれが実話というもんだから恐ろしいのです。

これを観てふと自分はテレビのニュースで色々な事件を観ながらどんなことを言っていただろう、と考えていました。
これはどこにでも起こりうる話だなっと(怖い)。

主役のポール・ウォルター・ハウザーや母親のキャシー・ベイツサム・ロックウェルオリヴィア・ワイルド、、、皆素晴らしかったです。
特にポール・ウォルター・ハウザーの正義感溢れる感じとかすごくよかったです。『アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル』『ブラック・クランズマン』とかはイライラさせられたからなぁ...笑

5.1917『1917 命をかけた伝令』

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サム・メンデス監督だからこそのワンカット風戦争映画。緊張感がすごかった...

もちろんこれはワンカットじゃなくても傑作だったのかもしれませんが、個人的にはワンカットがあってこその『1917』だったなと。

戦争映画をワンカット風に撮るという試みがすごいのだけど、それを見事に成し遂げることが本当にお見事。戦争映画とワンカットの親和性抜群。

主演のジョージ・マッケイも完全に監督の期待に応えていて、素晴らしかった(上から目線な言い方笑)。
『はじまりへの旅』も良かったので、今後にも期待です。

作品賞は『パラサイト』に敗れてしまったけど、映画の価値は揺るぎません。
ただ実は期待しすぎてしまって、クリティカルヒット!!!とまではいかなかったというのが正直なところ...という自分勝手な気持ちにはなりました。(とはいっても7位だけど)

6.Ford v Ferrari『フォードvsフェラーリ

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正直、カーレースには全く興味がない僕ですが、これは大興奮の一本。

まずレースシーンが素晴らしい。
最強の撮影と、素晴らしいサウンドで、すごい没入感。カーレースファンになりそう笑。

それに、なんというかここで描かれている理不尽さとかイライラとかって、かなり現実にも多いことだと思うんです。つまり、これは単純に暑苦しいだけの愛と友情の物語じゃなくて(そういう側面も強いけど)、もっと生々しく現実的だなと。まぁ実話なのだから当たり前なのかもしれませんが。
私はまだ学生ですが、もうすぐ社会人ということで、ちょっと社会に出るのが不安になりました笑

マット・デイモンクリスチャン・ベールの相性も抜群で、まっtく飽きることなく観ることができました。

いろんな意味でアメリカ的な映画でした。

7.Judy『ジュディ 虹の彼方に』

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この間のアカデミー賞で主演女優賞を受賞したレネー・ゼルウィガー 。なるほどこれはアカデミー賞好みの演技。

内容はもちろん皆さんご存知、ジュディ・ガーランド様について。
基本、晩年の彼女について描いています。

波乱万丈な人生で有名なジュディ・ガーランド。彼女の娘は「母はハリウッドが大嫌いだった」と発言しているほど。
いやぁ、きらびやかな部分しか私たちは普段みれないから、こう改めて見ると並大抵じゃないですな...。

LGBTコミュニティのレインボーの旗は"Over the Rainbow"から来ているように、彼女はLGBTのシンボルにもなっていますが、この映画はそれにも触れています。

基本的には他の伝記映画と変わらない演出だと思うのですが、レネー・ゼルウィガーの演技・パフォーマンスとジュディ・ガーランドの人生の親和性が非常に素晴らしく、心に残りました。

8.Long Shot『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』

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単純に観て「良かった〜」って思えた映画。

よくみるロマコメのプロットに、今の視点からスパイスが加えられていて素晴らしいかったです。
単なるコメディで終わらない、深い味わいのある作品。
時々あっと言わせる脚本にも拍手。

もちろん観ている間はそんなに深く考えず、楽しくロマコメを堪能。
シャーリズ・セロンセス・ローゲン。これだけでも最高。
特にシャーリズ・セロンが好きでした。『モンスター』以降変身演技が多かったけど、このセロンもやっぱり素晴らしい。こんなの全人類が惹かれるに決まってるじゃないですか。

こういう作品を年の始めの方に観れたのは非常に良かったです。
楽しかったー。

9.Les Misérables『レ・ミゼラブル

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10.Uncut Gems『アンカット・ダイヤモンド』

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その他印象に残った作品と、まとめ 

正直レ・ミゼラブルは8位くらいにしようと思ったんですが、今回は今後も愛して止まない映画になりそうなもの中心にピックアップ。まぁそれだけランキングは悩んだし、適当(?)です。申し訳ないです。

『マザーレス・ブルックリン』も好き。なんか謎に懐かしい雰囲気。やや長かった印象でしたが、もっとエドワード・ノートンが監督した作品みてみたいと思えました。

『スキャンダル』は特に今の時代にすごく重要な一本。ちょっとムカムカしちゃったけど笑。メイクアップがすごすぎる。

『アンカット・ダイヤモンド』は主人公がクズすぎて、最初は嫌いなタイプの映画かと思ったけど、面白かったです。自業自得って言葉が頭から離れなかったんですけどね。

他にも『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』は会話のテンポが素晴らしくよく練られている演出の連続だったし、ハスラーズ』のダイナミックさも最高。
『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』は映像が綺麗すぎて腰が抜けたし、ザ・ピーナッツバター・ファルコン』『ミス・アメリカーナ』『黒い司法 0%からの奇跡』『グッドライアー 偽りのゲーム』『エクストリーム・ジョブ』『ペット・セメタリー』『野性の呼び声』ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』あたりも色々と思うところはあったけど、印象深くて面白かったです。

邦画は全く詳しくないけど『37セカンズ』も良かったです。周りがやや一面的な部分があったかなとは思いましたが。
ティーンスピリット』はあまり乗れなかった方です。

『キャッツ』は...
視覚効果は良いとして、このストーリーは映画には向いていないなとは思いました。テイラー・スウィフトを観に行ったようなものですが。

その他も色々な作品で様々な思いをさせていただきました(?)。
映画よ、ありがとう。これからもよろしくお願いします。

 

この通り、私は文章力がないので楽しむ程度で今後も読んでいただけたらと思います。こんな自己満足なブログをいつも読んでいただきありがとうございます。

それでは、また次回!